tonari 創業者からのご挨拶 2021年度

世界中のモノや人、お金や企業がつながっている現代。人の移動、分散化もグローバル化の大きな要素の一つです。

移住を選択し、第二、第三の故郷をもつ人が増えています。

企業は、成長とともに顧客・人材確保のために分散していきます。

教育は地元に密着しながら、同時に世界にも開かれなければなりません。

そんな中、取り残されたニーズはありませんか — 大切な人を身近に感じることはできていますか?

人の移動や変化が求められる産業分野中心の現代社会では、ひとりひとりに寄り添う工夫が必要です。もっとテクノロジーは人と人の自然なつながりを維持するために、積極的な役割を果たすべきではないでしょうか。

tonariは技術の力で次世代のインフラとなり、飛行機での移動による大気汚染を削減し、毎日の通勤にかかる時間とストレスを軽減し、人と環境にもっと優しくなれる方法を模索したいと考えています。

そして、多くの人が今回のパンデミックで経験したように、物理的距離を取らざるを得ないときに、家族、同僚、クラスメートとの暖かいつながりを保ち続けたいと思っています。

tonariは離れた拠点を接続し、まるで同じ部屋にいるかの様に「空間をシームレスにつなぐ」サービスです。ビデオ会議と違い没入感があり、対面の様な感覚が味わえるのが特徴です。相手の視線やボディーランゲージから伝わる細かいニュアンス、遅延を感じないテンポの良い会話を実現します。そして、子供からお年寄りまで誰もが使えるユニバーサル・デザインにこだわりました。

職場では、分散したチームの信頼性と協調性を高め、情報が必要な人に行き渡りやすいフラットな環境を作るのに役立ちます。また人的リソースを拠点をまたいで有効活用でき、人件費や出張費を削減します。

教育現場では、都市部、郊外、海外の学校がつながり共にリアルタイムで学び合うことで、学校の場所にとらわれずお互い豊かな人間性や社会性を育めます。

家庭をはじめ、カフェ、コミュニティスペース、高齢者施設などがつながり日常的に顔を合わせられるような環境ができることで、離れた大切な人といつでも寄りそうことができます。

tonariは10年の長期ビジョンに基づいて、明確な目標のもとに研究開発を行ない早期市場への参入を果たします。その後、量産体制を整え、世界中の人々がアクセスできるインフラとしてtonariを提供します。近い将来、tonariはテレビ、携帯電話、モバイル通信サービスと同じぐらい低コストでユビキタスなものになるでしょう。

その未来を実現するため、tonariは2つの組織が両翼を担うソーシャルベンチャーの形態を取っています。

  • 非営利機関である一般社団法人tonariは、2017年に設立。日本財団からの助成金のもとで運営されています。運用コスト・経済的な観点から商業化に2、3年ほどかかる未開拓市場や利用シーンに向けて製品開発を進め、助成金を活用した小規模実験や試験導入を推進します。また、メディア活動や啓蒙活動を通じてtonariのビジョンを共有し、発展させます。
  • 営利目的のスタートアップ企業であるtonari株式会社は、2018年に設立。Mistletoe、One Capitalやその他エンジェル投資家からの資金提供を受け、製品開発、設備投資、製造規模拡大などの商業活動を進めています。主な役割は、主要マーケットの特定と商用サービスの提供、製造および流通パートナーシップの確立、マスマーケット向けの製品開発を通した製造コスト削減などがあげられます。

この2つの組織は、意図的な緊張感を持って共存しています。一般社団法人は、株式会社との共同研究開発を通して、tonariの未開拓市場における実証実験や研究活動を行います。一方で、株式会社は一般社団法人に対して必要なハードウェアとサービスを供給し、2027年まで財政的な支援を提供することと引き換えに、共同研究開発の成果物に対する商業的権利を有しています。これにより、日本財団からの助成期間終了後も、一般社団法人は安定した活動を維持することができます。

tonariのように高コストで新規性のある製品をスピーディに開発するには、資本主義や自由市場のメカニズムに頼る以上の方法はありません。株式会社はよりシステマチックな資本調達の手段を持ち、商業的パートナーシップを通した非線形な成長が可能です。Apple、Google、Teslaのような革新的な組織から学びながら、既存の仕組みを使って拡大できる営利企業の形態が、開発を高速化し、製品をグローバルに展開していくために最も確実です。

商業化に並行して、tonariの技術を誰もが使えるユニバーサルなものにするという最終的な使命も果たさなければなりません。未開拓市場での試験と開発を継続し、より完全な長期ビジョンを追求し続ける存在として非営利機関の一般社団法人が必要です。教育や福祉などのtonariの未開拓市場においても、実証実験や啓蒙活動を通して健全な製品開発競争を促すことができると信じています。

tonari Model 1 - 東京と葉山にいるチームメンバーを繋ぐ第1号モデル

2020年11月、2年半の開発期間を経て、職場環境向けの商業版を株式会社フロンティアコンサルティングに導入しました。次なる目標として、年内に国内10社(近々発表予定)への設置を予定しており、来年には数百台規模の導入体制を目指します。海外展開についても、限定的ながらも今後の道筋がはっきりと見える状況となりました。

更に、パンデミックの終息が少しづつ見えてきたことを受け、一般社団法人tonariは実質休止していた活動を夏から本格的に再始動します。コミュニティ、教育、福祉の新しい分野での試験的導入を行ない、2022年には教育の分野で商業版のローンチを目指します。その第一弾として、一般の方が訪れ実際に見て体験できるtonariの公共スペースをオープンします。非営利団体の方がtonariを利用した短期的な実験を企画、運営できるスペースにもなる予定です。

夢の実現までには長い道のりがあります。市場を開拓しながら何度も品質改良を行ない、マスマーケットで受け入れられるまでに数年かかるでしょう。先ほども述べたとおり、Teslaが辿った行程が、私たちのビジネスモデルになると信じています。Teslaは、ロードスターの限定生産から始まり、高級モデルのSとXに移行し、最終的にマスマーケットモデルの3とYを発売しました。tonariのソフトウェア、ハードウェア、流通体制をグローバル化するのは、自動車の生産や大型工場の建設に比べれば遥かに容易なことですし、適切なパートナーシップ次第では大幅な短縮化が見込めますが、いずれにしても数年の道のりであることは変わりありません。

最終的に成功したか否かは、tonariの掲げる理念にどれだけ寄り添えたかで判断したいと思っています。『tonariの理念は、仕事や教育の機会、コミュニティや家族といつでも繋がれるような、物理的な距離による境界のない世界を作り出すことです。ひとりひとりが今いたい場所にいられる環境を整えることで、誰もが生活や仕事を理想的に両立できるようにします。』

長い道のりですが、tonariの素晴らしいチーム、パートナーの方々、熱心なユーザー、コミュニティの皆さまに感謝しながら、活動に誠心誠意取り組んでいきます。今年は、生産規模の拡大に合わせて、導入事例や体験談を次々にお届けできる予定です。

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