株式会社フロンティアコンサルティング(以下、FC)では、東京本社と大阪支店に「一体感」を生むために、約一年半前にtonariを導入しました。tonariは「となり」にいるかのような臨場感を実現し、離れた場所をつなぐコミュニケーション・サービスです。導入後、FCのオフィスはこのような形でつながりました。
1回目のリサーチ・レポートはパイロット版を導入した約4ヶ月後の2020年4月に発表しましたが、コロナ禍で働き方は劇的に変化し、リアルでの出社はその後減少、私たちも頻繁な現地調査が難しくなってしまいました。
でも、FCにはファシリテーターという役割が用意されていて、tonariチームと共に社内のサポートや使用に関する調査を行う、社員の方がいます。そのため、導入後ずっと定期ミーティングを繰り返し、新しい機能の追加や社員の導線をより考慮した設置位置など、より効果的に使用してもらえるように様々なことを共に考察・改善してきました。
今回のリサーチ・レポートは、商用版のアップグレードをしてから社員の皆さんが日々tonariをどの様に使い、どんな効果を感じているのかをまとめたものです。アンケート調査の結果と社内インタビューで聞いたエピソードを交えてご紹介していきます。
前回のレポートでは、東京と大阪間で既に関係性がある人、特に両側にチームがいて頻繁に行き来している人がtonariを重宝し、パワーユーザーになることを記載しました。
コロナ禍ではさらに、既存のソリューションに比べて対面に近い感覚で話せることから、離れたオフィス間で生じる社内のコミュニケーションストレスの緩和に役立っていることがわかりました。
そして、今回のリサーチでは新たな人間関係を築くことにも役立っていることが見えてきました。FCがtonariに期待していた、「本社と支社間で1つのチームとして働く」という感覚を強める役割を果たしていることがうかがわれます。
リモートのストレスを緩和
オフィスコンサルティング会社のFCでは役員をはじめ、営業やデザインチームの多くが東京と大阪を行き来して仕事をしていたため、コロナ禍で短期出張が制限されてからは、多くの社員がtonariを使ってコミュニケーションの円滑化を図っています。電話やチャット、ビデオ会議よりもtonariが好まれる理由は、主に2つありました。
- 等身大の画面で、自然なボディランゲージと細かいニュアンスを読み取ることができる
- シェア・モニターで、プレゼンテーションなどの資料を自然に共有・確認することができる
社員が感じるボディランゲージの重要性
2021年3月に実施したアンケートでは、一体感をつくり出すのに一番役立っている機能は「等身大」と答えた社員が53.2%いました。
大阪のNさんは、「メールや電話、ビデオ会議でも言いたいことのニュアンスが伝わらなくてもどかしい時があります。tonariでは、身振り手振りやエネルギーも伝わるので安心して話せます。」とtonariを使用した感想を述べてくれています。
リアルに会っているかのように自分を表現できれば、会話はよりテンポ良く、効果的にコミュニケーションが取れます。かしこまった儀礼的な表現や、間接的な表現をする必要はありません。サッと、いつでも状況共有や相互理解ができるため、誤解が減り、これを解く時間も短縮できます。また、同じオフィスにいるかの様に、働き、話し、会議を行え、自然体でいられるため、物理的にも、気持ちや感覚的にも相手との距離を感じず、「チーム」とのつながりや共感が得られやすくなります。
シェア・モニターがサポートするスムーズな会議
口調や声のトーン、表情やボディランゲージは、アイデアを伝えたり、プレゼンをする際とても重要な役割を果たします。そのため、資料を共有出来る別のモニターを横に設置し、tonariのメインスクリーンは対面と同様に、会議の相手や、その場にいる人達と向き合うことに特化させています。メインスクリーンと分けることで、参加者の表情の変化や、話し手の熱意などに集中しながら、プレゼンテーションの内容を確認することができます。
大阪のTさんは、「ビデオ会議と違って、tonariはメイン画面と共有画面が分かれているので、ジェスチャーなどを使って、説明しきれない感覚的なニュアンスが伝えやすいんですよね。大阪と東京で会議をしているって感じがしないです」と感じていました。
また、オフィスコンサルティング事業を手がけるFCでは、サンプルやデザイン案など、視覚的な情報の共有が多く求められます。そのため、大阪のデザイナーであるNさんは「手間が省けたな、と感じることはありますね」と語っていました。
「例えば、東京のマネージャーと色や素材のサンプルを共有する場合、今までは写真を撮り、メールかビデオ会議を設定してでメリットやデメリットの説明していました。でも、この前tonari越し上司に呼ばれて、そのタイミングでパッとサンプルを見せて話し合って、デザインの決定をとても早く行うことができました。」
顔を合わせて新しい関係を築く
FCでは、計画された打合せだけではなく、よりカジュアルで偶然的なコミュニケーションも大切にするカルチャーがあります。物理的な距離と共に心の距離も離れてしまうことが多いリモートワークを経験し、出社した時はちょっとした挨拶や雑談などtonariを使ってはなれたのチームとの関係を大切にしていると語った社員もいました。さらに、コロナ禍で社員旅行や懇親会などが行えないため、積極的に新しい社員に声をかけているマネージャーもいます。
執行役員としてFCの西日本エリアを管掌する廣瀬直記さんは、名古屋、大阪、福岡と複数の拠点を比べた時、東京本社とtonariでつながっているチームやオフィスと、そうでない所とは大きな違いを感じると言います。
「"ONE TEAM(ワンチーム)" や "一体感" というと、心の距離や、親しみやすさやを思い浮かべますがそれだけではないように感じています。tonariを通して、大阪でも東京の音があり、動きが見える。同じ空間を共有している、そんな感覚をとてもフラットに感じています。これは、会議やセミナーで感じる形式的な「一体感」と違い、人と人がつながり、まさに空間を共有することなんだと思います。」
見かけた時にサッと確認・ちょっと雑談
FCでは、あえて人通りが多く、出入り口が見える方向にtonariを設置しているため、出社時や会議室に向かう途中などにお互いの姿が見え、思わぬ交流や会話が生まれる機会が多くあります。
東京の営業Tさんは、クライアントとの打ち合わせに向かう前に大阪のチームに「いってきます」と挨拶をしたり、同じく残業をしている大阪の同僚を見かけると嬉しくなって「おつかれさまです」と声をかけたりしているそうです。
東京のマネージャーIさんは、「会議の前にさりげなく、大阪のチームに声をかけて進捗確認をしています」と話します。
「業務時間中に相手を知る一番の近道は一緒にランチを食べることです。」という意見もありました。
こうして、頻繁に起こる2つのオフィスの「共有体験」は物理的な境界線を曖昧にし、離れた場所にいる同僚が、同じ仲間であることを実感させます。
「自分と会話していなかったとしても、東京側での笑い声が聞こえたときはなんだかこちらも笑ってしまいます」という、大阪のYさんのコメントには私たちも惹きつけられました。
新入社員・中途社員が馴染める環境づくり
4月というと新年度、新入社員の入社、新たな期待が集まる時期ですが、去年の4月はtonariにとって試される時期となりました。それは、コロナ禍で入社した新入社員の多くがリモートワークで職場、特に人間関係やコミュニケーションに関して不安を感じていると聞いていたからです。
通常、FCでは東京本社で新入社員の入社式を行い、オフィスツアーやさまざまな部署との交流、合同で研修を行うのが一般的でしたが、コロナ禍では制約がありました。さらに、2年連続で社員旅行がキャンセルとなり、なかなか全社員顔を合わせてできるイベントがありませんでした。そのため、FCはオリエンテーションのいくつかをtonariで行うことにしました。
東京から参加した営業のGさんは思わず「ようやく "直接" 会えましたね!」と大阪側の新入社員に言ったという話や、その後行ったインタビューでは、tonariを利用することで歓迎される暖かさや、仲間意識が生まれたと言う意見が聞けました。
さらに大阪のマネージャーのYさんは、「東京側に新入社員を見かけると積極的に挨拶をする様にしてます。」と言います。「大阪には新卒はあまりいないので、とても新鮮です。フレッシュなエネルギーが大阪にも伝わってきます」と、新入社員を迎え入れるメリットを大阪側からも感じていました。
また、中途採用で大阪オフィスに入社したばかりのJさんもtonari越しで東京の社員に出会っていました。「『Jさん、ちょっとこっちに来て』と呼ばれ、よく電話やメールでやり取りする、東京の営業メンバーを改めて紹介してもらいました。初めて顔と名前が一致してとても嬉しかったです。」
このように、tonariでのやりとりを通じて、離れている同僚と徐々に知り合い、つながりを感じている人が多くいます。大阪のNさんは、「実は今まで、支社は人数が少ないので社員旅行で少しアウェー感を感じていたところがあったのですが、東京との距離が縮まったので、次の社員旅行がどんな感じになるのか楽しみです!」と笑っていました。
見えてきた長期的な効果
tonariを使うと「顔を合わせる」ことができるので、短期的には意思疎通が図りやすくなったり、関係性を維持したり、新たに人間関係を築くことができることがわかりました。最近見えてきたのが長期的な効果です。サッと確認して実行速度が早まったり、同じイベントや打合せに参加することで同じ情報が得られたり、遠地の同僚とコミュニケーションを取る機会が増えるにつれ、コミュニケーションの課題であった「情報格差の解消」に繋がり、結果として「企業文化のズレ」がなくなり徐々に「一体感」を築き上げていることがわかりました。
例えば、役員とのコミュニケーション。本社である東京の社員にとって、社長、副社長を始め、多くの役員と廊下やエレベーターですれ違い会話をすることは日常茶飯事です。しかし、拠点ではそれがありませんでした。
私たちが実施したアンケートでは、大阪の回答者の94.1%が「tonariを導入したことで本社と一体感を感じる」と回答していますが、その理由の一部は、東京にいる幹部の方々と気軽に交流できるようになったからだといいます。大阪の社員Nさんは、「東京の幹部からの挨拶は嬉しいですね。名前で呼びかけられると、認められているような気がしてやる気が出ます」と言っていました。
次は、「長期的な効果」が垣間見えた事例です。2020年11月の当初、大阪の営業Kさんはインタビューでtonariの設置位置の変更に反対していました。東京・大阪ともにオープンスペースに設置されることで、特に大阪側はtonari越しに自席が見えることを懸念していたのです。「Iさん(上司)が見てると思うと、ちょっとした打合せも気を張ってなきゃいけないというか…。意識して言葉をえらんだり、ずっと自分の仕事ぶりをみられるのが、ちょっと」と語っていた。
しかし、数ヵ月後の2021年3月、気持ちに変化があったと言います。「東京オフィスの様子をもっと見ることができるようになって本当に良かったです。みんながどんな風に過ごしているのか、普段何をしているのか。誰が周りにいるのかがわかりますからね。ざっくばらんな会話をするのにとても適しています。」さらに、「今は、Iさんに見られてたとしても気にならないですね。むしろIさんとよく話す様になりました。」Kさんは、Iさんと定期的に話す機会ができたことで、以前よりも率直でカジュアルな会話ができるようになったと言っていました。
2回目の非常事態宣言が出た際、東京の本社では公共交通機関の混雑を避けるために、「全従業員が午後7時までにオフィスを出る」という臨時のガイドラインを発表しました。それを受けた時の反応が以前の雰囲気と違ったと、大阪支店長のMさんは言います。「東京本社が新ルールを発表したとき、大阪もきちんと従うべきだという空気が強かったです。今までだと、支店は環境も違うし「自分たちには当てはまらない」と守ってないところもあったかもしれません。やっぱり、東京と常につながっているので、今の大阪は「自分たちも一緒にやっているんだ」という気持ちになりますよね。」
すぐとなりの拠点・本社
コロナ禍以前は「先進的な企業が取り入れている『リモートワーク』」という実験的に行われていた働き方が、何百万人もの人が経験した働き方となりました。平穏がゆっくりと戻ってきた今、リモートワークのメリットと限界の両方が明確になってきました。
自宅でできる仕事は今後も増えていくでしょうが、同時に人が集まり、協力し、大きなものの一部であることを感じられる空間として「オフィス」の重要性が見えてきてきました。今回FCでのインタビューで、「ポストコロナは直属の部署の以外の、横のつながりを充実させるようなイベントや機会を増やしたい」という声をよく聞きました。これは、多くの社員が、会社に貢献しているという意識を持ち、「周りのこと」を「自分のこと」として捉え、当事者として感じているからこそ生まれる発想だと感じます。FCはtonariを使うことで、オフィスを「1つの業務施設」という物理的な制限のある定義から、「複数の都市に渡っていても一緒に働ける場所」に変えることができたのです。
私たちは他の会社とも一緒に、オフィスの役割を見直し、働くモチベーションを喚起し、従来のオフィス以上の成果を得られる環境を作りたいと考えています。コラボレーションの場として、企業理念や文化を体感できる場所として・・・みなさんの会社の「理想のオフィス」をつくるうえで、FCの事例が良いインスピレーションになることを期待しています。
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